誰しもヘアスタイルは気にしますが、その存在意義についてはほとんどの人が気にした事もない髪の毛。ないからといって命に関わるようなことはほとんどないし、普通にあるうちはさほど重要に感じません。
しかし、いざ少なくなってくると生命の危機にも似た不安にかられてしまいます。髪の毛は他の動物には決して見られず、ヒトの頭にのみ生えるもの。どれほど人間の近縁にあろうとも猿にだって、髪の毛はないのです。だからロン毛の猿やハゲた猿などはありえません。
人間の皮膚は一番外側に角質、その下に表皮、さらにその下に真皮という3段構造になっていて、毛や爪などは角質が変化したもの。ケラチンというたんぱく質がその主成分です。
髪の毛は皮膚の外に出ている毛幹部と皮膚の中にある毛根部とに区別されます。正常に抜け落ちた髪の毛では、毛根の根元のほうが丸くなっているのがわかりますが、この部分を毛球といい、内部に毛母という文字通り髪の母となる細胞が詰まっています。
毛母に供給された栄養素をもとに髪の毛が合成されて、皮膚の外へせっせと押し出されていくのが髪の成長です。
髪の毛は一番外側が毛表皮(キューティクル)、中心部は髄質(メデュラ)、その中間は皮質(コルテックス)という3層構造になっていて、コルテックスの部分は繊維状のたんぱく質で、この部分の質や量がそのまま髪の太さや質となって現れます。
生えている間の髪の毛では、毛球部の先端で毛細血管とつながっている毛乳頭という部分が毛母に栄養を供給しています。
毛乳頭から栄養供給を受けた毛母が髪の毛を合成して根元から成長させているのです。毛髪の主成分であるケラチンは18種類のアミノ酸から生成されていますが、通常のたんぱく質の組成とは若干異なり、含硫アミノ酸であるシスチンを多く含むのが特徴です。
髪の原料となる18種類のアミノ酸が食事から十分に摂れないと、毛髪のアミノ酸組成は変わってしまいます。そうすると髪の健康を保つことができず、細くなってしまったり枝毛や切れ毛の原因となります。
毛髪と言えどもヒトの体は食べたものから作られることの証ですね。
過剰に分泌された皮脂は脱毛の原因となることがありますが、皮脂がたまっただけで毛は抜けません。たまった皮脂が酸化したり、細菌が繁殖するなどして表皮に刺激をもたらしたり、炎症を起こして病的に脱毛するなど皮脂の変質がもっとも大きな原因となるのです。
しかし、本来皮脂は皮膚の保湿のために分泌されるもので、皮脂を取りすぎて皮膚表面が乾燥すれば、さらに分泌されます。皮脂を取りすぎるのはかえって地肌のためによくありませんので、頭皮を清潔に保ちつつ毛穴に皮脂がたまりすぎないよう注意することが重要です。